かってにコープス祭
夏といえばホラー、ホラーといえば……

季節は夏真っ盛り。
今年は例年まれに見る“猛暑”ということで、暑さにグッタリしている人も少なくないだろう。
そんなときはやっぱりクーラーやプール、ギンギンに冷えたアイス。

……というのもいいが、ここでは一風変わった、
それでいて昔ながらの涼み方をオススメしよう!
その方法とはズバリ“怖い思いをすること”だ。
もともと、日本には死に関する物語や、幽霊や妖怪にまつわる伝承が多く、
それが怪談といった形で広く伝わっている。
『残月』を見ている方の中でも、子供の頃に親に聞かせられた怪談が
トラウマになっている人は少なくないのではないだろうか?

そんな怪談大国・日本ではホラー映画も数多く作られ、
『リング』や『着信アリ』などの和製映画は世界的にも高い評価を受けている。
もちろん、ホラーが生きているのは映画の中だけではない。
我々にとって身近な“ゲーム”の中にもとてつもなく怖い作品がいくつも存在する。
今回はその中でも、同人ゲーム制作サークル『チームグリグリ』が手がけた
探索型ホラーADV『コープスパーティー ブラッドカバー』を紹介しようと思う。

この『コープスパーティー』は、
当HP『残月』でもおなじみの声優・杉田智和が愛してやまない作品。
ファンの方ならば、ラジオや雑誌など数々のメディアでの「コープスが面白い!」
という発言を覚えている人も多いことだろう。
実際、彼の言葉を信じてコープスを始め、そのまま「ハマってしまった」という
業界関係者は少なくない。

……はたして、杉田がそこまで熱心に布教活動を行う
『コープスパーティー ブラッドカバー』とはどういったゲームで、
どのように怖い作品なのだろうか?

油断したら死ぬ!? 究極の臨場感

本編の物語は、高校生・持田哲志がクラスメイトたちと
学園祭の後片付けをしている所から始まる。

どこにでもある平穏で楽しい日常。

彼らはお互いの友情を永遠のものにするために
“幸せのサチコさん”と呼ばれる儀式を行う。
軽い気持ちで儀式に臨んだ哲志たち9人。

だがこの儀式が原因で、
彼らは見たこともない空間へと飛ばされてしまうことになる。

そこはかつて、教師による児童惨殺事件の舞台となった
呪われた学び舎・天神小学校だった。

しかも彼らは位相の異なる次元へと飛ばされたために、
数人ずつバラバラのグループに分かれてしまい……。

大まかなストーリーを見てもらえば分かる通り、
このゲームは、ごく普通の高校生たちが元の世界に帰るために
不気味な小学校を探索していくという作品だ。
校舎の中には、主人公たちを導いた悪霊も徘徊しているため、
パニックホラーとしての要素も強い。

探索形式は『ドラゴンクエスト』などRPG(ロールプレイングゲーム)
でもおなじみのフィールド移動型。ホラーゲームではあるものの、
デフォルメ化された主人公たちがてくてくと学園内を探索する様子は
一見すると怖そうには見えず、登場人物自体も
「これがホラーゲームのキャラクター?」と言いたくなるくらいアニメ調でキュート。
グラフィックも最新のハードのモノに比べるとリアルとは言い難く、
ざっと画面を眺めただけではこの作品がホラーゲームとはなかなか想像できないだろう。

だが、このゲームはそんな要素をかき消すくらい、文章が怖いのだ!
中でも、探索中の様子を説明するテキストはとにかく不気味のひと言。
棚の中にぎっしりと髪の毛が詰めこまれていたり、
校舎の至るところに人の亡骸と思しき肉塊や生々しい血痕が残っていたり……。
ハリウッドのホラー映画のように「ギャー!」と叫び声を上げたくなるような
ショッキングな表現は少ないが、真綿で首を絞められるようなジワジワとした恐怖感……
むしろ不安とも言うべき感情がプレイヤーにまとわりついてくる。

もちろん、この不安はハッタリでは終わらない。
些細な出来事が原因で、主人公の仲間たちは次々と、
それも“簡単に”死んでいくことになる。
「ゲームだから多少ムチャな行動をしても大丈夫」とか
「重要な登場人物だから急には死なないだろう」とか、
そんな甘い考えは一切通用しない。
プレイヤーのほんのわずかな選択ミスが原因で、目を覆うような
グロテスクな光景が画面の中に広がる。
もちろん、彼らの死に方はまともなものではなく、
想像を絶するような苦痛と絶望を伴う、そんな最期ばかり……。

少し脅かすような内容になってしまったが、
この“常に死と隣り合わせ”という緊迫した状況こそが、このゲームの醍醐味なのだ。
プレイヤーは決してゲームを楽観視できず、画面に集中して探索を続けているうちに
自然と天神小学校の中にいるような気分になってくる。
そして完全に分身となった登場人物たちの恐怖は、いつしかプレイヤー自身の
リアルな恐怖に同化している……という寸法だ。

杉田自身も
「夜中にひとりでトイレに行けなくなって近所のコンビニに駆け込んだ」
というくらいだから、その怖さはかなりのモノだろう。

極限状態の男女が織り成す人間ドラマ

ホラー要素ばかりを紹介してきたが、
“人間関係の生々しさ”もこのゲームを語る上では欠かせない。

高校生の男女がメインキャラクターということもあって、
彼らの間には恋愛や友情といった青春要素たっぷりの感情が溢れている。
別の次元に飛ばされたために姿が見えない仲間のことを気遣いながらも、
同じ次元にいる仲間たちと必死に脱出方法を探るその姿は、
ホラーゲームということを忘れて爽やかさすら覚えるくらいだ。

一方で、彼らが抱くのは必ずしもポジティブな感情ばかりではない。
主人公の哲志を中心とした三角関係や、極限状態に追い込まれたことでの
すれ違いなど、人の心の脆さも鮮明に描かれている。
そして、これらのネガティブな感情が取り返しのつかない悲劇を
招いてしまうこともあるのだが……。

結末こそ幸せなものとは限らないが、心理描写の精巧さは
このゲームの最大の魅力に他ならない。まるで実際の人間のように
驚き、絶望し、光明を求める登場人物たち。
とてもゲーム内の1キャラクターには留まらない、人間臭さあふれる彼らの姿には、
ついつい感情移入してしまうことだろう。

余談だが、この『コープスパーティー ブラッドカバー』は、
1996年に発表された『コープスパーティー』という作品のリメイクに当たる。
原典となった『コープスパーティー』では、
哲志と妹の由香による禁断の恋愛が大きな話題となった。
現在発売されているPC版ブラッドカバーでは大幅にシナリオが変わっているため、
この部分がどうなるかはまだわからないが……
妹好きの人はぜひ期待していてほしい。
もちろん待ちきれないという人は、今から改めて初代『コープスパーティー』を
プレーしてみるのもオススメだ!
中には全員が無事に生還するエンディングも用意されているのだが、
あえて悲劇的な結末に進むと、より彼女への愛着が深まることは間違いナシ。

ちなみに、杉田もそんな由香のことが大層お気に入りだとか……。

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さて最後になったが、ここで作品に関する情報を掲載しよう。
今回紹介させていただいた『コープスパーティー ブラッドカバー』は
全国同人ショップにて好評頒布中。

Chapter3までを収録した最新作『ブラッドカバー3』は、
東京ビッグサイトにて開催されるコミックマーケット74の2日目(8月16日)、
西地区“ら”ブロック45bにて先行委託頒布を予定しているそうだ。
イベント限定特典CDも同梱されているので、気になる方は要チェック。

詳しい情報は、製作元チームグリグリ公式ページ(http://www.gris2.com/)を参照しよう。

もともと作品に興味があった人も、ここで初めて存在を知った人も、
ぜひこれを機会にコープスの世界を堪能してほしい。

 
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